弊社は2025年7月、統合的なアイデンティティセキュリティプラットフォームを提供するSilverfort社と、国内販売代理店契約を締結しました。
*参考:https://products.nvc.co.jp/news/20250722
アイデンティティや認証は、組織がゼロトラストを実現するうえで、非常に重要な要素です。一方で、近年の働き方の多様化や、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるIT環境や技術の進化に伴い、組織におけるアイデンティティの管理やセキュリティ対策は、以前にも増して複雑化しています。
本ブログでは、こうした背景を踏まえ、組織が直面しているアイデンティティ管理とセキュリティに関する課題とは何か、そしてそれらにどのように向き合うべきか、まず取り組むべき第一歩としてどんな対策があるのかをご紹介します。
組織が直面するアイデンティティ管理とセキュリティの課題
組織におけるアイデンティティ管理の中核的なシステムといえば、Active Directory(アクティブディレクトリ/AD)です。2000年にリリースされて以降、多くの企業や団体で導入され、アイデンティティ管理の基盤として広く活用されてきました。
その後、クラウドサービスの普及に伴い、クラウドベースのアイデンティティ管理サービスとしてMicrosoft Entra ID(旧:Azure AD)が利用されるようになりました。しかし、多くの組織では、従来から利用しているADも引き続き運用しており、オンプレミスとクラウドを組み合わせた“ハイブリッド構成”が一般的となっています。
このような構成が続いている背景には、以下のような理由があります。
- ADの設計上、ドメインコントローラーを拠点ごとに分散配置しているケースが多く、統合が難しい
- 長年にわたってADを基盤にシステムの増改築を繰り返した結果、全体像が把握できなくなっており、移行に踏み切れない状態にある
さらに近年では、IdP、IDaaS、IAM、SSOなど、さまざまなアイデンティティ管理や認証の仕組みを取り入れる組織が増えたことで、管理基盤がハイブリッドかつ断片的(サイロ化)になっているのが実情です。
こうした背景から、組織が直面する具体的な課題として、以下のような点が挙げられます。
- 組織全体として、アイデンティティや認証に対する一貫した可視性が確保できていない
- 認証システムが乱立し、コストの重複や設定の複雑化による不備が発生
- MFA(多要素認証)が適用できないレガシーシステムを継続利用している
- IoT機器やクラウドサービスの急増により、マシンID(Non-Human Identity:NHI)の管理が追いつかない
- 権限管理が属人的になっており、特権アカウントの把握・制御が不十分
このように、アイデンティティと認証をめぐる管理体制は、複数の技術や運用上の要因が絡み合い、年々複雑化しています。
アイデンティティ管理とセキュリティのためにまず取り組むべき第一歩
ここまで、アイデンティティ管理や認証を取り巻く環境の複雑さと、組織が直面する課題について紹介してきました。では、そうした状況の中で、いま最初に取り組むべき施策とは何でしょうか。
アイデンティティ管理やセキュリティ対策の手段として、PAM(Privileged Access Management)やIGA(Identity Governance & Administration)といったソリューションを導入するケースが多く見られます。また、ID管理基盤をIDaaSに一本化することを検討する組織も増えてきました。さらに最近では、ISPM(Identity Security Posture Management)やITDR(Identity Threat Detection and Response)といった、より新しい概念や技術の導入も注目されています。
こうした選択肢が増えている今、では一体、何から始めるべきなのでしょうか。
結論から言えば、まず取り組むべきは、「可視化」です。
アイデンティティ管理やセキュリティ対策において、最も大きな課題は、組織が自らの現状を正確に把握できていないことです。つまり、「何が、どこで、どう使われているのか」がわからない。これは対策を講じる以前の問題であり、根本的なボトルネックとなっています。
状況を把握できないままでは、どの対策を講じるべきかの判断もできません。そのため、まず取り組むべきは、組織内に存在するアイデンティティや認証の状況を“見える化”し、全体像を把握することです。そのうえで、自組織にとって本当に必要な対策を検討していくことが重要です。
弊社が新たに取り扱いを開始したSilverfortは、まさにこの「可視化」を実現するためのソリューションです。
Silverfortは、既存のネットワーク構成や認証の仕組みを大きく変更することなく、Active Directory(AD)との連携を通じて、組織内で実際に使用されているアイデンティティと認証の全体像を把握することができます。
この可視性の確保により、現在の運用状況を正確に理解し、必要な対策や改善点を明確化することが可能になります。また、将来的なID管理基盤の見直しや移行に向けた検討材料としても活用できます。
Silverfortが提供する価値は「可視化」だけにとどまりません。取得した情報を活用することで、認証の分析や、リスクに応じたリアルタイム制御も可能です。2ndオピニオン的に既存の認証フローにSilverfortが介入するため、特定条件下での認証の制御、追加のMFA認証を求めるなど、柔軟かつ即時的な対応が実現できます。
これにより、ただ可視化するだけでなく、可視化を起点としたセキュリティの高度化にもつなげることができます。
まとめ
アイデンティティの管理やセキュリティ強化は、長年にわたり組織が向き合ってきた重要な課題のひとつです。しかし、日々複雑化していく認証システムを前に、「重大なインシデントが起きない限り、本格的な対策に踏み切れない」というのが、多くの組織の本音ではないでしょうか。
近年では、IoT機器の普及、クラウドサービスの拡大、自動化システムの進化に伴うAPIの活用増加により、組織が管理すべきアイデンティティの数は急速に増加しています。そして今後、AIエージェントの活用が一般化していく中で、この傾向はさらに強まっていくことが予想されます。
このような状況下において、まず求められるのは、「現状を正しく把握すること」=可視化です。
弊社が提供するSilverfortは、こうしたアイデンティティ管理の基盤を支援する、強力なプラットフォームです。Active Directory(AD)を基盤として運用している組織において、アイデンティティ管理や認証セキュリティに課題を抱えている方には、課題の可視化と解決の糸口を提供することができます。
製品の詳細説明やデモ、トライアルのご相談も可能ですので、ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。