皆さんこんにちは。エバンジェリストの飯田竜司です。
今回は2025年8月に、Black Hatと同時期に開催されているDEFCON 33に参加しましたので参加レポートをお届けしたいと思います。
DEFCONとは
DEFCONとは、1993年から開催されているハッカーの祭典です。世界最大級のハッカーカンファレンスとして毎年Black Hatと同時期の8月に開催されており、今年で33回目の開催となります。
会場は去年に引き続きLas Vegas Convention Centerで、空調の効いた施設内を移動しながら、様々なトークセッションやワークショップ、トレーニング、ビレッジと呼ばれる各分野の展示ブースなどを回ることができます。
会場にはUberかLas Vegas Monorailで向かうと良いと思います。私たちはモノレールで移動しました。会場の最寄り駅であるWestgate StationはMGM Stationから5駅の場所にあり、モノレールの移動は大体15分くらいで到着します。そこから会場まで炎天下の中10分ほど歩きますので、帽子や日焼け止めなどを用意しておいた方がいいかもしれません。ちなみにモノレールからは球体ドームとして有名なSphereを見ることができます。MGM Stationから乗る場合は右側の席に座るといいですね。
今年のバッジは・・・?
毎年、参加者向けパスとして様々な趣向を凝らしたバッジが配布されますが、今年のDEFCON 33は卵型のバッジでした。バッジには赤、青、黄色の3色のカラーフィルタがセットになっています。結構作りが脆く、会場内でバラバラに弾けている参加者も多かったです。余談ですが、アメリカドラマに出てくるFBIや警察が首に下げているバッジのようにも見えますね。
同じく配布されたナップサックの中にはガイドブックとシールが入っています。講演の予定や展示ビレッジの概要などが記されていました。
去年と同じ会場でも今年はホールごとに分野が分かれている
去年と同じ会場ですが、今年は会場の使い方が変わり、Vendor/Hall/Villageが、それぞれホールごとに区切られている形になっていました。今年からNorth Hallも利用されており、会場規模が少し拡大したような形となっています。
※引用: https://defcon.org/images/defcon-33/33-maps.pdf (2025年8月25日参照)
会場地図の黄色およびピンク色のところがVendorゾーンとなっており、業界団体やショップなどが出展しています。黄緑色の部分はHallエリアとなっており、規模は様々ですが、参加者が集まって発表を聞く場所となっています。オレンジ部分がVillageで、各領域に特化したコミュニティとなっています。
去年はVendorとVillageが一緒になっていましたが、今年はHallごとに分かれているため、ごちゃごちゃした印象は少なくなっていました。またVillageがHall1-2の大きさになっており、人の動線が去年に比べてかなり改善されているように感じられました。物販スペースが独立したことで混雑を避けられるようになったとも言えます。
様々なVillageをご紹介
DEFCONの醍醐味の一つが、テーマごとに設けられた「Village(ビレッジ)」での体験と交流です。
今年のDEFCON 33でも、AI、ICS、無線通信、ロックピッキング、ソーシャルエンジニアリングなど、多様な領域のVillageが会場内各所に展開されていました。
Villageではブースやステージが設けられたものもあり、ミニ講演やデモ、ワークショップなどが行われていました。立ち見で気軽に参加できるものも多く、技術的な知識がなくても十分に楽しめる構成になっていたのが印象的です。
今年も体験型チャレンジが盛りだくさんでしたが、特に印象に残ったのは「手錠脱出チャレンジ」です。背後で手錠をかけられた状態から、たった一本のヘアピンで解除できれば成功というシンプルながらスリリングな体験で、成功すると周囲も拍手喝采といった感じで和気あいあいとしている印象でした。
また、参加者同士のコミュニケーションが非常にフレンドリーで、近くにいる人と自然に会話が始まり、そのまま連絡先を交換するような光景もたくさん見られました。BSidesやBlack Hatと比べても、より「オープンでカジュアル」な雰囲気を感じられるのがDEFCONの魅力だと再認識しました。
講演セッションも見逃せない!
DEFCON 33では、セッションは主に3種類の会場で行われていました。
- オフィシャルホール(大規模な基調講演など)
- クリエイターホール(より技術的で実践的なテーマ)
- 各ビレッジ内のブースセッション(少人数でビレッジテーマに深堀りしたテーマ)
特にクリエイターホールでは、リバースエンジニアリングやゼロデイ解析、フィジカルセキュリティなど、現場目線のリアルな話が多く、技術者からの注目度も高かった印象です。人気のセッションは早めに並ばないと満席になることもあるので、時間には余裕を持って行動した方が良さそうです。
↑オフィシャルホールの様子(左) (右)クリエイターホールの様子
講演を通して感じたこととして、やはりここに来てこそ得られる刺激があると実感しました。特に印象深かったのは、Torの創設メンバーによる講演を生で聴くことができた点です。匿名通信を支える技術的な仕組みはもちろん、なぜそのような仕組みが必要なのか、どのような思想や歴史の中で維持されてきたのかといった背景が語られ、単なる技術解説にとどまらない深みのある内容でした。普段はあまり触れることのない視点であり、技術に対する自分の理解を一段深めることができた貴重な機会となりました。
まとめ
今年は全体的に「利便性」と「開放感」が増し、初参加の人でも楽しみやすい設計になっていたと感じます。
会場の中には日本からの参加者も多くみられました。一方で、写真撮影が禁止されている場所も多く、現地で体験しないと分からない情報や空気感がまだまだたくさんあるのも事実です。セキュリティに関心のある方は、ぜひ来年のDEFCONに現地に赴いて参加されてみるのはいかがでしょうか?
NVCでは最新情報の収集のため、今後もこうしたIT/セキュリティイベントに参加していく予定です。イベントで知りえた、現場の「リアル」な声や技術トレンドをこれから皆さまにお届けしてまいりますので、ぜひ次のイベント参加レポートを楽しみにしていただければと思います。
なお今回は「DEFCON」のみではなく「Black Hat」と「BSides」、そして今年は「AI Summit」にも参加しています。参加レポートは随時更新していきますので、ご期待ください!
興味がある方はぜひ以下の参加レポートもご一読ください!
- 【参加レポ】NVCラスベガス出張2025総集編 <近日公開予定!>
- 【参加レポ】Black Hat USA 2025
- 【参加レポ】BSides Las Vegas 2025
- 【参加レポ】The AI Summit at Black Hat