【規格/ガイドライン解説】パートナーシップ構築宣言

 2023.12.12  2024.02.21

企業が行う取り組みとしてSDGsに注目が集まる一方で、「パートナーシップ構築宣言」と書かれた青いロゴを目にすることが増えてきた、と感じる方も多いのではないでしょうか。

「パートナーシップ構築宣言」について、本ブログで簡単に紹介しましょう。

「パートナーシップ構築宣言」とは

「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーンにおける発注者にあたる企業が、”取引先とのパートナーシップを強化するなど「新たな共存共栄関係の構築」を企業の代表者名で宣言(コミット)するもので、「成長と分配の好循環」を目指します”という自組織の取引方針やスタンスを宣言する制度です。あくまで宣言であり、明確な基準に対する合否判定や、制度を運用する組織による審査が行われて認定されるような枠組みではありません。

専用のポータルサイトが提供されていて、ここから宣言を行っている企業の一覧の確認や、新たに宣言を行うことが可能です。

【規格/ガイドライン解説】パートナーシップ構築宣言ポータルサイトのトップページ(2023/9/12 参照)

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制度化の背景

内閣府の経済財政政策会議の1つである「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」により、2020年5月18日から議論を重ね、制度化されています。

コロナ禍における物価上昇の結果、その皺寄せは取引関係における受注者側、その中でも特に中小企業に集約している現状がありました。加えて、こうした製品価格の上昇に伴った価格交渉が必要な場合に、一般的に受注者側が発注者側に対して契約金額の見直しの申し出を行うことが難しいという実態もありました。

こうした状況を是正し、取引の適正化や生産性の向上を目的に制度化が行われたのが「パートナーシップ構築宣言」です。

宣言の内容

「パートナーシップ構築宣言」を行う組織が、発注者として取引先との連携や共存共栄を進め、新たなパートナーシップ構築を進めるために、主に以下の2つの観点に対する重点的な取り組みを行うことを宣言し、この宣言の元パートナーシップの構築を行う必要があります。

1.サプライチェーン全体での共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携

自社だけではなくサプライチェーン全体での付加価値向上や共存共栄のために、取引先に対する働きかけや助言、支援を行うこと。
具体例:企業間の連携、IT実装支援、専門人材マッチング、グリーン化の取組、健康経営に関する取組、等

2.「振興基準」の遵守

サプライチェーン内における親事業者と下請け事業者との間での望ましい取引慣行を遵守し、健全なパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に対する積極的な取り組みを、下請け中小企業振興法に基づく「振興基準」を踏まえて行うこと。
具体的な観点:①価格決定方法、②型管理などのコスト負担、③手形などの支払い条件、④知的財産・ノウハウ、⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ

上記に加え自由記載での宣言内容の追加が可能です。

これ以上の詳細情報につきましては、ポータルサイト上にて宣言文のひな形や、記載要領が掲載されておりますのでそちらを参照ください。
参考:https://www.biz-partnership.jp/outline.html

また、”1.サプライチェーン全体での共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携”の内、企業間の連携や特にIT実装支援に関連した情報を提供するガイドライン「サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ向上のための 取引先とのパートナーシップの構築に向けて」があります。こちらのブログで解説をしておりますので参照ください。

宣言を行うメリットや懸念点

宣言を行うことで、宣言企業が得られるメリットは大きく3つあります。

1. 対外的なアピール

宣言を行うことで公式ポータルへの社名掲載や、宣言企業であることを示す専用のロゴマークの使用が許可されます。これにより、自社が取引先に対して共存共栄のためのフェアな関係性構築を目指す企業であることを対外的に示すことができます。

2. 補助金での加点措置

宣言を行っていることで、いくつかの補助金で加点措置を受けることができます。例えば、「ものづくり等補助金」や「省エネ補助金」などが対象です。
一覧はこちらのリンクを参照ください。

3. SDGsの取り組み目標の達成

宣言と具体的な取り組みを行うことで、SDGsの目標である17項目のうち、5つの項目に対しても同時に達成することが可能です。
達成可能項目:「3.すべての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「10.人や国の不平等をなくそう」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」
参考:https://www.jcci.or.jp/partnership/

一方で宣言を行うことで想定されるデメリットや懸念事項というと、実は特にありません。宣言内容を達成できていない場合の罰則事項はなく、あくまで自主的な取り組みの宣言を行う制度です。

ただし、宣言後の注意事項としては、「振興基準」に基づいた指導や助言が入った場合に、宣言内容が履行されていないと判断されることで、掲載が取りやめになる場合があります。

まとめ

健全な取引関係の形成は現代の企業に求められる重要な要素の1つです。「パートナーシップ構築宣言」を行うためには具体的な取り組み内容を明文化することが必要となり、それがその企業の活動における明確な目標の1つになります。

対外的な企業ブランドのアピールや補助金の加点措置、SDGsの目標達成にも繋がるこの宣言、まだ宣言をされていない企業の方は是非検討してみてはいかがでしょうか。

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