これからのサイバー攻撃対策のポイントは”予防”にあり!
CTEM(継続的脅威エクスポージャー管理)とは

 2025.01.14  2025.05.09

サイバー攻撃の件数は年々増加しており、その手法も巧妙さを増しています。このような状況の中、多くの組織は攻撃を「止める」あるいは「発見する」ことに重点を置いた対策を進めてきました。しかし、こうしたアプローチには限界があり、攻撃者と防御者が延々と追いかけ合う「イタチごっこ」の様相を呈しています。

攻撃者の手口が高度化する一方で、これに対応するためには膨大なリソースと努力が求められ、組織側は大きな負担を抱えざるを得ません。その結果、従来の防御や検知対応策だけでは、もはや十分にリスクを管理しきれない状況が生まれているのです。

こうした課題に応える新しいアプローチとして注目を集めているのが、CTEM(Continuous Threat Exposure Management:継続的脅威エクスポージャー管理)です。近しい考え方として「セキュリティ・バイ・デザイン」がありますが、より広域を対象としていることがCTEMの特徴です。いずれも、攻撃を防ぐだけでなく、潜在的なリスクそのものを減らしていくという予防的な観点を取り入れたセキュリティ対策の考え方です。

本ブログでは、CTEMの概要とその実現方法について解説します。

CTEMとは

CTEMは、継続的脅威エクスポージャー管理とも呼ばれる新しいセキュリティフレームワークです。

このアプローチは、組織内に潜む根本的なセキュリティリスクを特定し、それに対処するための包括的なプロセスを提供します。業務プロセスとして組織の中にCTEMを導入し、適切に運用・管理することで、IT資産に潜むリスクを早期に発見し、それが悪用される前に効果的な対応を取ることができます。

ここで注意すべき点は、CTEMが特定の「ソリューション」を指すものではないということです。

組織のリスクと言ってもさまざまな観点があります。たとえばロケーションだけをみてもオンプレミス環境、クラウド環境、リモートワーク環境などさまざまな観点があり、それらを同時に対策することは容易ではありません。

Zero Trustがセキュリティの包括的な考え方とアプローチを示しているように、CTEMもまた、その実現方法をまとめたフレームワークです。CTEMは1つの製品で完結するものではなく、各組織が適切にプロセスを運用し、必要なツールやリソースを組み合わせて活用することで初めて効果を発揮します。

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CTEMプロセスを実現する5つのステップ

CTEMは、以下の5つのステップで構成されています。これらのステップを継続的に実施することで、組織のセキュリティ体制を強化することができます。

  1. Scope(スコープ/範囲設定)
    管理・監視対象として想定するリスクの範囲や定義を決定。
  2. Discovery(発見/検出)
    組織のIT資産を網羅的に洗い出し、それらに潜むリスクを検出。
  3. Prioritization(優先順位付け)
    攻撃者目線でリスクの重要度を評価し、対応の優先順位を明確化。
  4. Validation(検証)
    組織目線でリスクに対する対応の必要性を判断し、実行計画を策定。
  5. Mobilization(動員/修復対応)
    優先度に基づき、具体的な対策や対応を実施。

PDCAサイクルのように継続的な運用が鍵

これらの5つのステップは、一度実施すれば終わりというものではありません。組織内の環境や状況の変化により、新たなリスクが生じる可能性は常に存在します。そのため継続的にCTEMプロセスを実施し続けることが重要です。

CTEMプロセスを定常的に繰り返し運用し、攻撃者に悪用される前にリスクへの対応を完了させる。これにより攻撃を受けにくく、また攻撃を受けても成功させないセキュアな環境を実現できます。

ctem_process

最後に:CTEMでセキュリティの新たなステージへ

従来のセキュリティ対策から一歩進み、継続的にリスクを把握し、それに対応することが、現在の組織におけるセキュリティ対策で最も重要な観点の一つとなっています。CTEMの導入を迅速に進めることは、組織のセキュリティ体制を根本から強化し、それがセキュリティリソースの効率的な活用につながります。

当社では、組織のCTEMの導入時に活用可能な多彩なソリューションを提供しています。
例えば、以下のソリューションを活用することで、組織内の特定スコープにおけるCTEM実現をサポートします。

  • SecurityScorecard:自組織およびサプライチェーン全体の公開IT資産に対するセキュリティ評価を強化
  • Orca Security:クラウド基盤(IaaS/PaaS)の資産管理を強化し、網羅的なリスクの可視化と対応を支援
  • Forcepoint:データ保護に特化したDSPM/DLPソリューション

これらのソリューションにご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

CTEMの実現方法につきましては、ブログ「CTEM導入のススメ – NVCが提案する効果的な導入のための3ポイントを解説」に詳しくまとめておりますので、ご興味がある方はこちらのブログをご参照ください。

CTEMは、単なるセキュリティ対策の手段ではなく、組織が未来に向けてセキュリティの質を向上させるための「考え方」です。本ブログが、皆さまのセキュリティ対策の一助となれば幸いです。

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